"エシカル"という言葉をご存知だろうか。英語で「ethical」=「倫理的」「道徳的」という形容詞で「環境保全」「社会貢献」といった意味での使われ方が一般的。
では、「エシカルジュエリー」とは…? エシカルジュエリーのブランド「HASUNA」代表の白木夏子さんにお話を伺った。
"エコ"や"フェアトレード"のイメージを超えていく。
「"エコ"という言葉は自然環境に偏りがち、"フェアトレード"は開発途上国の貧困層の方々の生活向上へとつながる一方で、クオリティを疑問視されがちで…」そういった言葉のイメージを"エシカル"は一気に超えていくという。「《人と社会と自然環境に配慮したモノづくり》という包括的なメッセージがあるからです。私どもが手がけているエシカルジュエリーは、素材調達、加工、流通、デザイン、販売とすべての過程に関わる人の幸せを最大限まで追求し、同時に社会や自然環境への負担を最小限に抑えているのです」いろいろな要素、問題点を混ぜあわせながらも、最善なモノづくりをして行くのが"エシカル"の言葉の印象。前向きなパワーや意欲を刺激する、ポジティブで活動的な感覚だと、白木さんはいう。
個人的なネットワークを元に取引先を開拓
母はファッションデザイナー、父は繊維関係の仕事という環境の中育ち、ファッション関係の仕事に就きたいという志が芽生えていた。加えて、学生時代に国際協力について学ぶ中、インドの鉱山労働者たちと出会い、その悲惨な労働状況に衝撃を受ける。それが、「全ての工程に関わる人が笑顔になれるジュエリーを作りたい」という動機になった。「じゃあ、資材調達はどうするのって、そこから分からない…。まったくゼロからのスタートでした。石の原産地や鉱山を辿ったり、友人の友人がこんなことをしているだとか、海外青年協力隊でこんな活動をしている日本人がいるとか、個人的なネットワークで徐々に情報が集まってきました」そうして得た情報を元に、一つひとつ運営方法を含めたクオリティを確かめながら取引先を見つけていった。HASUNAの代表的な素材となっている、東アフリカ・ルワンダの牛の角、中米ベリーズの白黒模様の巻貝や黒サンゴ、ミクロネシアの養殖真珠などがそれだ。
2011年3月には東京・南青山に初の直営店をオープン。貝殻や羽をあしらった大胆なデザインは、若者だけでなく年配のご婦人にも好評だ。ユーザーの反応がダイレクトに伝わる直営店はデザイナーとしても必要。今後は、さらに直営店を増やし海外展開も視野に入れているという。
ビジネスとして確立させるには?
「いくら"エシカル"といっても良いものでないと人は買ってくれません。じっくりとマーケティングや事前のリサーチをして、私ともう一人のデザイナーとでああでもないこうでもないとディスカッション。企業家としての意識は絶対に必要です」フェアトレードやエコを掲げるより、もっとビジネススキルが必要だと白木さんは言う。メッセージを伝えるということにとどまらず、あくまでビジネスとしてやるべきことをきちんとやる。その先に目標がある。「ジュエリー業界全体が、一般的にエシカルなモノづくりをしているという状況を作りたいと思っています。そうでなくては、マーケットは拡大しないし継続が難しい。HASUNAの手法が、ひとつのビジネスモデルになって、業界全体のソーシャルチェンジへと結びつくこと、それを目指しています」

白木夏子(しらきなつこ)
鹿児島県生まれ、愛知県一宮市育ち。2002年英国ロンドン大学キングス・カレッジにて学ぶ。卒業後は国連人口基金ベトナム・ハノイ事務所とアジア開発銀行研究所にてインターンを経験し、投資ファンド事業会社勤務を経て、09年4月「HASUNA Co., Ltd.」を設立。
HASUNA 南青山本店
所在地/東京都港区南青山4-1-7 1F
TEL/03-6447-1764
営業時間/11:00〜20:00
定休日/水曜日







